アメリカ広葉樹日米建築家懇談会 in 名古屋
2019年5月31日金曜日、名古屋市内のホテルにて「アメリカ広葉樹日米建築家懇談会」が開催されました。名古屋・東海地域の建築家や木材業界関係者約50人が出席する中、日本建築家協会(JIA)東海支部愛知地域会より3名、アメリカ建築家協会(AIA)日本支部よりアメリカ人建築家3名にそれぞれ講演いただきました。

先に日本側より(株)東畑建築事務所の高木耕一氏より「地域を動かす木のものづくり」と題して、自身が手掛けられた小学校の木造校舎や昨年岐阜県土岐市に完成した市役所庁舎を例に、木を使ったものづくりが地域や町づくりにつながるので、木材の地域での製材や乾燥作業の問題をクリアにし、コストを抑える事ができればもっと需要が高まるのではとの事でした。

続いてモブ構造設計(株)の金山美登利氏からは木材の適材適所への使用を工夫すれば十分に木造建築をたてる事は可能だがアメリカ広葉樹の知識があまりないとのお話しでした。

最後に(有)裕建築計画の浅井裕雄氏が、「木造と時間」と題し、倉庫内に木造家屋を設置した珍しい建物をご紹介いただきました。

3人の建築家から共通した問題点として上げられたのは、アメリカ広葉樹を特別意識して使用していないし、また必要な情報が必要な時に入ってこないとの意見が上がりました。

次にアメリカ側からはPAE Design & facility Managementのスコット・ゴールド氏より、アメリカ建築家協会(AIA)とAIAジャパンについての説明があった後、ランビアーシ建築設計のジェームス・ランビアーシ氏より「木材の素材からの学び」として、日本で長年住んでおられアメリカと日本両方の文化や建築手法を理解し、大都市の大型物件も木造の住宅建築も扱われる同氏の様々な角度や視点から作られる建築物は大変興味深く、双方の良い技術や考え方などが活かされた魅力溢れるものでした。

最後は(株)槇総合計画事務所のミッシェル・ヴァン・アカー氏。木材をほかの素材と組み合わせ、レンガなどの古い建築物などともうまく調和させることが可能でその良さや美しさをペンシルバニア大学で手掛けられた新学舎の写真を使いながら伝えて頂きました。

それらの講演の後、その6名の講演者にパネリストになって頂きパネルディスカッションをおこないしました。

今回の議題は

1)日米建築家の環境建築への取り組み

2)日米の建築家の木質内装利用に対する考え方

3)日本の建築家に対するアメリカ広葉樹を含む木材製品の情報提供の方法

などについてでした。

日本の建築家側からはアメリカ広葉樹に関する情報が少なく、設計にすぐ組み込めるレベルに達していない現状が指摘されました。

内装材としてのアメリカ広葉樹製材だけでなくアメリカ広葉樹突板についても情報はもっと発信することにより、多くの建築家が興味を持つのではとの意見を頂きました。

アメリカ広葉樹輸出協会の内装材向けのプロモーション、さらにはアメリカ広葉樹材を取り扱う木材会社の情報の発信方法にまだまだ余地があることを考えさせられる懇談会となりました。