北海道の家具・木材業界との広葉樹懇談会 2012/04/25

アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)日本事務所は、去る平成24年4月25日(水)北海道旭川市内の旭川グランドホテルで「北海道の家具・木材業界との広葉樹懇談会」を開催しました。

2002年にアメリカ広葉樹輸出協会が「第2回アメリカ広葉樹エコ・ファニチャー・コンテスト」を旭川で開催して丁度10年目を迎えるにあたり、日本の家具産地であり広葉樹産業の中心地でもある旭川で北海道を代表する家具メーカー4社、単板メーカー1社と木材輸入問屋3社の代表者8名と北海道水産林務部林業木材課長、米国大使館農務官の計10名の討論者、さらにオブザーバーとして北海道の家具・木材関連会社の方々35名を迎え
 
  1)北海道でのアメリカ広葉樹材を含む広葉樹の現状
  2)家具材・内装材としてのアメリカ広葉樹を含む木材の有効利用
  3)日本での北海道の家具及び木質内装材のプロモーションについて

の議題について率直な意見交換をおこないました。

まず、米国大使館農務官のベンジャミン・ペトロック氏の挨拶に続き、北海道水産林務部林業木材課長の椿尾信雄氏からは、北海道の広葉樹は蓄積量及び径級が回復しておらず現在の需要に応えることが難しい。地域材による公共施設の木造化・木質化を進めている北海道では北海道産の木材とアメリカ広葉樹を適材適所で使用して頂きたいとお話がありました。

その後、アメリカ広葉樹輸出協会日本代表の辻隆洋より「アメリカ広葉樹の資源と有効利用」についてスライドによる説明、討論者の自己紹介に続き辻の司会進行で議論に入りました。

議題1)については2009年のロシア政府の原木の輸出関税引き上げ以降、脱ロシア化が進み安定供給が可能なアメリカ広葉樹材さらには欧州から広葉樹材の輸入が増加している。

一方、アメリカ広葉樹業界に対して、日本では大量生産大量消費の時代が終わり、中小の家具メーカーは日本にあるニッチ市場をいかに掴み、個性的な家具・木工作りをしている中で、それらの状況に対応してくれる米国の供給パートナーがなかなか見つからないとの厳しい意見が出ました。

さらに、家具メーカーからは旭川の木材業界が多くの国から様々な樹種を輸入する努力を続けておられ安心して家具作りができるとの意見もありました。

議題2)については日本ではキャラクターマークを取り入れた家具が多く普及し始めており、米国の乾燥技術の向上もありNo.1コモン(Bグレード)も思ったほど割れや節も少なく、使用を増やしていけるとの意見が出ました。

議題3)については今後の旭川の家具業界としては創造的かつ知的な家具産業として、小規模で個性的な工場でデザインを主軸としたものづくりをこの地域の特徴としたいとの方向性が示されました。

家具を輸出している欧州では、旭川の家具産業の技術力は高く評価されて来ており、高額な家具としても販売可能となってきていると報告され、長期的・安定的に地域的な戦略として若者を育てる、本物を見る目を育てる教育をするためにも「ものづくり大学」創設の必要性が訴えらました。

懇談会後の懇親会において、参加者より非常に有意義な意見交換会であったとの論評を頂きました。