■両会場とも80名を超える盛況ぶり
アメリカ広葉樹輸出協会が日本の建築家やデザイナーを対象として開催しているセミナーも今回で4回目を数え、今年は6月3日(火)名古屋市内、6月5日(木)札幌市内にて、「アメリカ広葉樹建築家セミナー」を開催しました。今年は初めての開催となる名古屋と札幌でのセミナーでしたが、両会場共80名近くの参加があり、当日直接会場にいらっしゃり参加を申し込まれる方も数名いらっしゃったほど盛況なセミナーとなりました。
木質系の内装材やインテリアを設計やデザインに取り入れられる建築家やデザイナーが益々増える今日、住宅内装材としてのアメリカ広葉樹の有効利用や活用法、内装材の仕上げ方法、アメリカ広葉樹の森林資源について日米両国から招聘した建築家、塗装の専門家と弊協会より、PowerPointやスライドで数多くの建築事例を見せていただいたり、アメリカ広葉樹のフロアーサンプルを回覧しながら詳しく説明して頂きました。
今回、講師を務めていただいたのは、横内敏人建築設計事務所の横内敏人氏、堀部安嗣建築設計事務所の堀部安嗣氏、Miller & Hull Partnership LLPのCraig Curtis氏、木材塗装研究会の長澤良一氏、弊協会副会長のOrn Gudmundsson Jr.です。
名古屋会場では、米国大使館の農務官のスティーブ・ウィクソム氏の開催の挨拶で始まり、続いて弊協会の副会長のオルン・グッドマンドソン・ジュニアより、「米国の広葉樹資源―未来に向かっての計画」と題してプレゼンテーションが行われました。
昨年日本で施行されたグリーン購入法に伴い、木材輸入業者、建築家などを中心に、世界的な環境保全への意識がますます高まり、アメリカ広葉樹林で行われている次世代に繋げる持続可能な森林管理の取り組み、また他の建築資材に比べて、いかに少ないエネルギーで輸送や加工が可能であり、そして「木」は唯一再生可能な資源であることなどの説明がありました。
2006年に続き2度目の来日となった米国の建築家Craig Curtis氏, FAIAの講演では、「太平洋岸北西部地域での建築・内装材としての広葉樹」と題して、今までに設計したシアトル近郊の市役所等の公共物件から個人住宅において広葉樹をふんだんに内装材に取り入れた実例写真とともに詳しく説明していただきました。
■自然と一体の「WA−HOUSE」のコンセプト紹介
後半の部では、自然と一体となる建築をコンセプトに設計を展開しておられる横内敏人氏の講演が行われました。「WA−HOUSEの設計方法」と題して、庭を楽しみ、季節を感じるこのとの出来る素晴らしい住宅の事例写真を惜しまず見せていただき、ローコストに対応する素材や手入れの少ない樹木の選び方、大開口部の防寒対策などの技術的な施工方法まで詳しく説明いただき、たくさんの方が真剣にメモを取られているようでした。
最後に内装材には欠かせない塗装について、木材塗装研究会の長澤良一氏より「建築現場における広葉樹内装材の塗装」と題して、専門用語が多く難しく感じてしまう塗装についてアメリカ広葉樹のフロアーサンプルを使用しながら、色々な仕上げ方法について判り易く説明していただきました。前回の建築家セミナーでも長澤氏の塗装の講演は大変人気で、今回後援をいただきました(社)日本建築家協会東海支部や北海道支部の方々より再度塗装の講演を依頼する声があったようでした。
北海道会場では、米国農務担当公使のダニエル・バーマン氏の開催挨拶のあと、横内氏に代わり、堀部安嗣建築設計事務所の堀部安嗣氏に「建築にしか出来ない表現とは」というテーマで講演いただきました。
今回配布したハンドアウトマテリアルでは、長野県の軽井沢で展開された別荘の写真をご紹介いただきましたが、当日のパワーポイントでは200枚近くの事例写真をご用意いただき、屋久島でのプロジェクトや堀部氏が最初に手がけられた九州でのプロジェクトなど、さまざまなスライドを見せていただきました。
どの作品も自然と向き合い、調和というよりは自然と1つになった建物が多く、また加えるのではなく、引くことによって感じる美しさや直接見るのではなく、間接的に聞いたり感じたりすることで逆に見えてくるものがあるなど、堀部氏の哲学的な感性から生まれてくる内装や建物のお話に、いつのまにか参加者の方達も引き込まれていらっしゃるようでした。
■AHECではアーキテクトセミナーを継続
アメリカ広葉樹輸出協会では、このようなセミナーを継続的に開催し、もっともっとアメリカ広葉樹や木材の魅力、活用方法などを建築家やデザイナーの方々にお伝えしていきたいと考えております。
横内氏、堀部氏、カーチス氏の配布資料、またアメリカ広葉樹についての資料は無料で御提供しておりますので、弊協会のホームページwww.ahec-japan.orgにアクセスして頂き、「お問い合わせ・資料請求」のページよりお申込ください。
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