アメリカ広葉樹と森林認証制度について

 SFI(Sustainable Forestry Initiative)やFSC(Forest Stewardship Council)といった森林認証制度によって認められた森林から採取・加工されたアメリカ広葉樹製品が、年々増加しています。ただ、認証制度の運営システムが、個々の森林管理単位で設定された追跡調査に依存しているため、認証された米国の広葉樹林はまだまだ一部に過ぎません。そういった背景には、森林所有者自体の考えも大きく関係しています。

  米国内の広葉樹林の73%は個人所有であり、その多くは同じ所有者によって何世代にもわたり維持されてきたものです。約400万人といわれる私有林所有者は平均約20haの森林を所有しています。通常、彼らは生涯に一度か二度、広葉樹の原木を売却していますが、原木販売から期待できる所得の割合は低く、仮に森林認証制度を受けた原木の価値が著しく上昇した(実際には起こっていませんが…)としても、森林所有者が認証制度を導入する動機にはなっておりません。

  製材所から出荷される製材のほとんどは、何千という個人所有者から持ち込まれた原木が製材されたものであり、年毎に異なる私有林所有者から持ち込まれています。

  しかし、森林認証制度に適応していないからといって、そのアメリカ広葉樹林が持続可能な森林でないわけではありません。アメリカ広葉樹が、持続可能な森林であることは森林自体が証明しています。米国連邦政府は森林資源が増加し続けるという70年間にわたる国有林の資源蓄積データを公表しています。データによれば、過去半世紀においてアメリカ広葉樹林の面積が18%増加していると同時に、アメリカ広葉樹の森林蓄積量は90%を超えています。興味のある方は、米国農務省・海外農務局のウエブサイト http://www.fs.fed.us/pl/rpa/list.htm で詳細情報がご覧いただけます。

  アメリカ広葉樹林が持続可能な森林であることは疑う余地の無い事実ですが、これは現存する連邦・州政府による森林管理システムの有効性、アメリカ広葉樹林の自然回復力、そして森林所有者の森林に対する営利を超えた愛情が大きく寄与しています。森林所有者森林所有者の多くが小規模な個人であることは森林認証制度の展開を難しくしていますが、持続可能の観点から考えますと、逆に大きな強みであり、米国の地域共同体と森林の強い絆を創出する結果になっています。