10月8日はバーモント州ブラドフォード市にある高級家具メーカーCopeland Furniture Incを訪問。この会社はアメリカ広葉樹の製材を購入、その材を自社工場や下請け工場で生産している各家具の部材に加工してそれに番号を付け工場内で在庫します。そして受注後それらの様々な加工部材を使用して2週間以内に注文を受けた家具を組み立て発送するシステムを取っています。彼等はこの方法を「スーパーマーケット・システム」と呼んでおり、日本側の方々も非常に興味を持って見学されていました。樹種は主に高級材であるチェリーやウォルナット、ハードメープルなどを使用。訪問した日は10月中旬にノースカロライナ州ハイポイント市で開催される全米家具ショーに展示する家具の発送作業に追われていました。
午後には2009年12月東京でアメリカ広葉樹輸出協会日本事務所が主催した「日米家具木工職人懇談会」に出席された家具職人ギャレット・ハック氏の工房(バーモント州セットフォードセンター)を訪問しました。ハック氏の自宅では素晴らしい手作りの日本食を振舞っていただき互いの再会を喜び合いました。さらにマサチューセッツ州ホーイルライトに在る木工作家Aurelio Bolognesi氏の工房を訪ねました。両工房の見学では木工道具について活発な意見交換がなされ日本製木工道具の素晴らしさ、使いやすさで日米の意見が一致しました。その後ボストン市内に入り、10月9日の自由行動日には参加者全員がボストン美術館を見学されました。
10月10日はボストン市よりインディアナ州インディアナポリス市に飛行機で入り、バスでインディアナ州ロチェスター市に向かいました。その日の夕刻、Pike Lumber社社長で現アメリカ広葉樹輸出協会会長のJohn Brown氏に日本の視察団を自社林見学に連れて行って頂きました。アメリカ広葉樹林がいかに適切な森林管理がなされ安定供給出来るかについてPike Lumber社の森林管理担当者から詳しく説明を受けました。日本の視察団の方々は家具メーカーの方々でアメリカ広葉樹林を実際に見学されるのは初めてとのことで、アメリカ広葉樹の樹種の特徴等について色々な質問がなされました。その後のPike Lumber社スタッフとの夕食会では日本の家具市場の状況等について意見交換がなされました。
10月11日午前はインディアナ州アクロン市に在るPike Lumber社の工場を見学。原木を置いてある土場、製材行程、人工乾燥、等級格付け行程など日本で使用されているアメリカ広葉樹製材の製造工程を詳しく視察し、品質をコントロールの方法などを確認しました。その日の午後はインディアナ州ユニオンシティー市に在るアメリカ広葉樹輸出協会メンバーのFrank Miller Lumber社を見学し日本で主に使用されているWhite Okaの柾材の製材工程を見学。柾材にはいかに大きな丸太が必要かを確認することができました。その後の夕食会ではFrank Miller Lumber社のオーナー、社長、販売部長などと日本の家具市場の今後について積極的な意見交換がなされました。
10月12日全ての視察が終了し、インディアナポリス空港よりミシガン州デトロイト空港経由で日本へ帰国の途へ。日程的にかなりハードなスケジュールの1週間でしたが実際に米国の家具業界やアメリカ広葉樹輸出協会のメンバー会社を訪問して頂いたことで米国側の現状を認識して頂けたと確信しています。このことにより日米の家具木工業界が相互交流し国を超えてアメリカ広葉樹の素晴らしいさを引き出す家具木工製作に取り組んで頂くことを願う旅となりました。最後に日本の視察団からは日本の家具メーカーも米国の家具メーカーのようにもっと自信を持って家具作りをしていかなければならないとの意見を頂きました。