2010年10月5日〜10月12日の8日間、(社)日本家具産業振興会の正副会長と日本の家具業界の主だった方々6名と家具業界紙から1名の計7名が米国の家具業界及び広葉樹業界を視察するミッションに参加されました。
10月5日、一行は日本よりマサチューセッツ州ボストン市の空港に入りバスでニューハンプシャー州ポーツマス市に移動。翌10月6日から視察がスタートしました。
■Thos. Moser Inc.を訪問
10月6日午前、まずメイン州アーバン市にある高級家具の製造販売を手掛けるThos. Moser Inc.を訪問。
その工場視察の前に会議室で日米家具メーカーの意見交換会が行われました。
日本側からは米国市場では中国から輸入されている安価な家具にどのように対抗しているのかという質問に対して、Thos. Moser Inc社長のRichard Moser氏から「価格競争すれば負けるに決まっている。今まで培ってきた技術で作り上げている家具をアッパークラスの消費者向けに販売する事にこだわっている。」
「自社ショールームをボストン、 ニューヨークなどの大都市数か所に設け、注文受注後約3週間内に顧客に届ける体制を取っている。」
「中間流通を飛ばし代理店からその顧客に直接納品している。」
「カートボードでの梱包をせずに、家具専用のブランケットで簡易梱包して納品しており、そのブランケットは再利用してコスト減につなげている」との返答がなされました。
工場内は綺麗に清掃されており家具職人が担当の家具製造に集中している姿が印象的であった。工場見学の最終段階で創業者のThomas Moser氏にも面談出来、日本の視察団の方々と椅子のデザインについて意見交換がなされました。
■Center for Furniture Craftsmanship(家具木工学校)
午後からはメイン州ロックポート市にあるCenter for Furniture Craftsmanshipという家具木工学校を訪問しました。
この学校には全米さらには全世界から木工技術を学びたい方々が来られています。色々なコース例えば12週間コース、9カ月コース等が有り、入校生の希望に対応しているとのことでした。
校内見学後、次世代にいかに木工技術を継承していけばよいのか、そしてその取り組みなどについて日米両国での現状を踏まえて意見交換がなされました。
長年それぞれの国で家具業界に長く携わってこられた方々の意見は大変貴重なもので、真剣に未来にその技術を継承しようとする姿勢が感じられました。
さらに日本側からは日本の若手職人を木工技術習得と海外経験から広い視野を持つことができるよう、この学校に送り込みたいとの希望が出されました。なお、現在日本の女性1名がこの学校で学んでおられます。
■Northland Forest Products Inc.工場
10月7日ニューハンプシャー州キングストン市にあるアメリカ広葉樹輸出協会のメンバー企業のNorthland Forest Products Inc.の工場を見学しました。
この会社は製材機を持たずグリーン材を買い、自社で人工乾燥、等級格付けをおこなうコンセントレーションヤードで、米国内の家具メーカーに対していつでも必要な材を提供できるように人工乾燥材をストックしていると社長のジェムソン・フレンチ氏から細かく説明がありました。
それにより米国の家具メーカーが多量の製材在庫を持つ必要がない、このシステムについて日本側から興味深く質問がなされました。さらに高熱処理したアメリカ広葉樹の「サーモウッド」についても説明がなされ、エクステリア向けに米国内で販売しているとの説明もなされました。
■日露講和条約の地、ポーツマス市で有識者や業界関係者と懇談
その日の夕刻、ニューハンプシャー州ポーツマス市にある日露講和条約の史跡を見学しました。ポーツマス市の協力で1905年日露講和条約が実際に締結されたポーツマス海軍基地内の記念館を訪問し、その会談で使用された椅子などを見ることができました。
その日の夕食会ではポーツマス市の市会議員、裁判所判事、ニューハンプシャー州とマサチューセッツ州の木工関係者とアメリカ広葉樹輸出協会メンバー2社の代表者が参加し日米での家具木工市場など日米間の様々な話題について意見を交換がなされ日米親善を深めました。(No2へ続きます)
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