Eco Interior Project in Hokkaido  「遠藤歯科クリニック」

  2008年のエコ・インテリア・プロジェクトは、札幌市内の新築物件である遠藤歯科クリニックの待合室などの内装に、アメリカ広葉樹を有効活用するというものでした。

  北海道の建築家・小西彦仁氏(ヒコ・コニシ建築設計事務所)の設計で、なるべく室内に角を作らず、床から壁さらには天井へと、まるでキャタピラーのように一連につながったデザインの待合室は、内装を際立たせるため木製品以外のパーツは全て白を採用。アメリカ広葉樹の特徴であるキャラクターマーク(筋や色違)をそのまま活かした素晴らしい空間を表現されました。

  (株)新宮商行により、アメリカ広葉樹の代表的な4種類であるチェリー、ウォルナット、ホワイトアッシュ、ハードメープルの製材が、三つの幅と乱尺のフロアー材、腰壁材、天井材に加工され、さらに1枚1枚手で塗装が行われ大変素晴らしいアメリカ広葉樹エコ・インテリアが作り上げられました。

  施工を担当された福島工務店は、小西氏のアイデアであるそれぞれの木の美しさをわざと引き立たせるため、それらの4樹種を混ぜるという難しい施工に挑戦し、熟練の技でそれを見事に仕上げられ、アメリカ広葉樹の森林のようなナチュラルな雰囲気を醸し出す、日本にはほとんど例のない内装事例となりました。

  当初のデザインでは、道路に面した開口部は小さめでしたが、アメリカ広葉樹エコ・インテリアの使用決定後に大開口へと変更され、外を歩いている人からも素晴らしい内装の温かみを感じることのできるデザインにされた、とのことでした。実際11月13日に開催された現地視察会中も、歩道を歩く人達が内装を覗き込む姿が何度も見られました。そして夜はまた違った雰囲気になり、外から見ると外の暗さと内装の壁の白の中に、温かみを放つアメリカ広葉樹の内装が浮かび上がっていました。

  CureとCareを別けた診察を目視される遠藤歯科クリニック院長の遠藤先生も、患者さんの痛いとか怖いという歯科医院のイメージが少しでも和らぎ、リラックスしていただけるような温かな空間に大変満足されたご様子でした。

  建築家の小西氏からは、「アメリカ広葉樹は、素材力があり色も豊富で、使いやすいのは間違いなく、厚みのある製材からは無垢の力を感じることができ、既製品とは違う本物の良さがある。しかし、床や天井など大きな面積に使用すると、そのままコストにかかってくるため、コスト面での問題がもう少しクリアになれば、もっともっと使用したい素材である」とのコメントをいただきました。

  アメリカ広葉樹輸出協会では、このような問題をクリアにすべく努力を重ねて、より多くの方々にアメリカ広葉樹を使用していただき、その良さを確認していただければと考えています。(2008・11)