アメリカ広葉樹北海道見学会

2018年5月22日〜23日、アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)が(公社)日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部・住宅部会所属の建築家13名と「アメリカ広葉樹北海道見学会」を開催しました。
一つ目の訪問先である「上遠野徹邸 札幌の家」では、家主の建築家・上遠野氏より直接建物についての説明をいただき、北海道ならではの断熱方法やレンガやスチールなどとのハイブリッドな使い方を見学しました。その後アメリカ広葉樹輸出協会が2008年のエコ・インテリアプロジェクトとして取り組んだ「遠藤歯科クリニック」を訪問。設計は建築家の小西彦仁氏<ヒココニシアーキテクチュア(株)>で、待合室のフロアー材や腰壁材、天井材に4樹種(ウォルナット、メーチェリー、ホワイトアッシュ、ハードメープル)を幅(3種)と長さ(乱尺)で無駄なく製材・加工されたアメリカ広葉樹を使用した内装を説明していただきました。キャラクターマーク(生節や色違)はもちろん、4樹種を混ぜて施工された待合室は木のぬくもりが溢れる空間で、亜寒帯気候で冬が厳しい北海道の暖房設備にも十分対応し、10年経っても割れやソリ、あばれなども見られず床暖房にも、十分に対応していることが改めて証明されました。

その後一行は、札幌市内のホテルに入り、(公社)日本建築家協会北海道支部・住宅委員会所属の建築家11名、在札幌米国総領事館より2名が加わり「アメリカ広葉樹建築家懇談会in札幌」と題した会議が行われました。在札幌米国総領事館領事のジャスティン・トール氏の開会挨拶の後、それぞれの地域や気候による建物の違いや施工方法等、さらには関東・北海道地域での環境建築の取り組みについて意見交換しました。またアメリカ広葉樹を含む木質内装材利用に対する考え方、木材製品の情報提供の方法についてなどのパネルディスカッションが行われ、続くレセプションでも絶えることなく木材や建築の話が行われていました。

見学会2日目は、札幌市内から旭川に向けて移動し、昭和木材(株)の旭川工場の見学を行いました。大雪山連峰を望むヤードには所狭しとアメリカ広葉樹や各地から集めた丸太が貯木されており、沢山の製材が天然乾燥されていました。その木材加工工程では、多種多様な材を顧客のニーズに合わせて出荷されており、取扱いの多さや規模の大きさに驚きました。次に訪れたのは北海道最大手の家具メーカーカンディハウス本社。そのレセプションルームで見学会参加者である東京の建築家と旭川家具工業協同組合、北海道広葉樹協議会の方々とのランチレセプションを開催しました。

そのレセプションでは在札幌米国総領事館首席領事のレイチェル・ブルネット・チェン氏の開会挨拶後、各参加者が現在のアメリカ広葉樹の輸入状況や市場について、アメリカ広葉樹で製作された家具の販売状況、また逆に東京での木材製品のトレンドについてなど短い時間でしたが沢山の情報交換をされているようでした。その後、カンディハウスの家具製造工程とショールームを案内いただき、細部にまで気持ちと技術が行き渡った家具はどれも美しく使い勝手も考えられており、アメリカ広葉樹の魅力が活かされた素晴らしい家具ばかりでした。そして最後に、前日の会議でプレゼンいただいた北海道の建築家3名の実際の環境に適応した住宅を見学し、盛りだくさんのバスツアーを終えました。今後も各木材会社や家具販売店の東京や関東支店などで多くの取引が行われ、アメリカ広葉樹が内装や家具にさらに使用されることが期待できる2日間の見学会となりました。