「U.S. Architectural Mission with Japanese Architects - Part 2」
5月18日(火)

ペンシルベニア州のBradford にあるZippo本社の見学後、同州Brookvilleに在るMatson Lumberに向かいました。

雨の降りしきる中、まず本社製材工場を見学。 Matson Lumberは150年以上製材業を営み9世代に渡り家族経営している会社で、取り扱う樹種はホワイトオーク、レッドオーク、ハードメープル、チェリー、ソフトメープル、チューリップウッド、ヒッコリー、アシュなどこのアリゲイニー高地で品質が良よいと言われるアメリカ広葉樹を製材しています。

対日輸出は1970年後半から開始し、かつては毎日2コンテナーを輸出していた時期もあったとのことでした。

日本の建築家がこの製材工場を見学するのは初めてのことで大変歓迎していますとJack Matson氏より挨拶をいただき、その後の工場内を見学しました。

工場では丁度レッドオークが製材されていました。丸太を巨大な鋸で角材にし、それを別のラインで板材にしていきます。その製材しただけのラフ材をグレーダーが片手にチョーク、もう片手に材の長、幅と厚をチェックするメジャー棒を持って一枚一枚チェックしていきます。

大変手間のかかる作業ですが、NHLA(全米広葉樹製材協会)のグレーディング免許を持ったグレーダーが手際よくこなしていきます。Matson Lumberでは、ある程度まで含水率を落とすことが出来る大きなプレ乾燥室を持っています。

オーク系やメープルたまにチェリー材などを早く乾燥させたい時にはプレ乾燥することがあるとのことでした。その後の人工乾燥処理をします。その人工乾燥の期間は厚みと樹種によって異なり、オーク材ですと25mm(4/4”)で45日間、50mm(8/4”)で半年間乾燥するとのことでした。

次に訪れたのは同州HarrisvilleにあるMatson Lumberのもう一つの製材工場です。ここはアーミッシュと呼ばれる独自の宗教観と生活文化を持つ人達が働いています。

彼らは移民当時の生活様式を守るため自給自足を基本とし風車や水車によって蓄電池に充電した電気のみを使用し、車も乗らずバギーと呼ばれる馬車で移動します。服装も特徴的で男性はブルーや白のシャツに黒パンツにサスペンダー、麦わら帽を着てあごひげを蓄えていることが多く、女性も地味な色のワンピースに白や黒の頭を覆うネットのような帽子を来ていて、一目でアーミッシュであることが分かります。

この工場には当日5〜6名のアーミッシュの男性が働いていましたが、自分たちのコミュニティーからほとんど出ない彼らには私達が初めて見る日本人であり、また私達も初めのアーミッシュとの出会いでした。宗教上彼らを写真に撮ることはできませんでしたが大変貴重な体験となりました。

この日最後の目的地はアメリカの有名な建築家フランク・ロイド・ライトが設計したあの有名な建築「Falling Water(落水荘)」の見学に向かいました。バスで約2時間で到着。

緑豊かな林の中を川沿いに約10分歩くとBear Runと言う川の上に洛水荘が現れます。1930年後半に建設されたこの建物はカフマン家の別荘として建てられており、石、川、木々などそこにある自然と建物が融合された壮大な建築物でした。

英語のガイド説明は建築用語のオンパレードでほとんど通訳できない状態でしたが、実際の建築を見るだけでも大変価値のあるものでした。

Part3では最終訪問地のニューヨークでの3日間をご報告いたします。