「アメリカ広葉樹日米建築家懇談会」  2010/04
2010年4月13日(火)、京都市内のホテルにて、「アメリカ広葉樹日米建築家懇談会」を開催しました。

今回は米国マサチューセッツ州アムハーストから環境建築に長年取り組んでいる建築家Tullio Inglese(ツリオ・イングレージ)氏と京都を中心に活躍されている7名の建築家の方々に出席いただきました。

まずアメリカ広葉樹輸出協会副会長のJohn Brownからの「米国広葉樹業界の環境政策と合法性への対応」と題してのプレゼンテーションでは、木材は再生可能な素材であり成長した立木は空気中の二酸化炭素を吸い酸素を発する、加えて鉄やスチール、プラスチック、アルミなどの建築素材に比べて生産時や輸送時のエネルギーが少なくて済むという点でも環境に優しい素材であるとの説明があり、その中でもアメリカ広葉樹は違法伐採の可能性が1%未満であり伐採量が生長量を上回らないよう森林管理されており日本のグリーン購入法のガイドラインに沿った合法証明がされている材であることが述べられました。

続いてイングレージ氏のプレゼンテーションでは、同氏が主張している12の環境建築原則を今までに手掛けられた建築作品の写真とともに説明されました。

現存する建物を壊したり素材を捨ててしまうのではなく、出来る限り再利用したり断熱性を高めることによって太陽光や地熱を利用しその家が必要とする全てのエネルギーを生産できるような家造りが紹介されました。

家の中は屋外よりも10倍汚染物質があると言われ、建材は毒性がなく自然なものの使用を心がけるべきであり、写真の中では子供が頬ずりしているブルージーンズから成る断熱材がとても印象的でした。その他にも立地場所との調和や緑化の取り組み、一つの基本的なデザインの普遍性への取り組みなど多岐に渡って紹介いただきました。

最後に日本側から2005にAHECのEco Interior Projectで京都府・舞鶴市内の保育所を設計・施工された建築家の國吉公一氏よりパネルとDVDでそのプロジェクトについて説明いただき、実際にアメリカ広葉樹を使用した経験を基に施工や使用方法についてもお話いただきました。

その後のフリー・ディスカッションでは、

1)日米の建築家の環境建築への取り組み、

2)日米の建築家の木質内装材利用への考え方、

3)日本の建築家に対するアメリカ広葉樹の情報提供方法

などについて議論しました。

参加された建築家の方々は地産地消つまり国産材を中心に使用している方が中心で、今回初めてアメリカ広葉樹の蓄積量のデータ、森林管理方法さらにはグリーン購入法に沿った合法証明された材であることなど知りえたことで、これを機に国産という枠を外しアメリカ広葉樹の使用も積極的に考えたいとのご意見を頂きました。

今回の懇談会を通じて建築家の木材を使用したいという気持ちは日米を問わず同じ想いがあるのだと感じました。そして、アメリカ広葉樹をもっと日本の建築家、デザイナーそして消費者の方に知っていただく為継続したプロモーション活動が必要だと痛感しました。