「アメリカ広葉樹懇談会」 2009.02

東京都内のホテルで、2009年2月23日(月)「アメリカ広葉樹懇談会」を開催しました。今回の懇談会にはアメリカ広葉樹材を住宅や店舗に実際使用した経験がある日本建築家協会関東甲信越支部・住宅部会所属の建築家5名と長年に渡りアメリカ広葉樹材を取り扱う木材問屋から2名、小物から取り付け家具まで製造している家具メーカーより1名、それに米国大使館農務部から2名が参加し、アメリカ広葉樹を含む木材流通の問題などをより深く掘り下げて話し合われました。また、オブサーバーとして家具製造社から2名とプレス6名が参加しました。今までにも何度となく、流通や使用の問題、情報提供のあり方、有効利用方法についての意見交換はされてきましたが、今回は実際に住宅や店舗に使用した経験の中からのより具体的な改善策、床暖房への対処の方法、仕上がり厚の問題などが話し合われました。

懇談会では米国大使館農務部スティーブ・ウィクソム氏の挨拶の後、建築家の北出健展氏より2006年に東京都府中市の美容室「アトリエ JD」でアメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)日本事務所が展開した、エコ・インテリア・プロジェクトの内装事例をスライドで説明いただきました。この美容室は商業施設の2階に位置しており、24時間空調の厳しい状況を考えて床材は6面塗装にしたことで、2年以上経った現在でも反りや隙もない。月一回のワックス掛けのメンテナンスを行うのみで、洗髪剤や水が飛び散るシャンプー室の床も傷みが無く、アメリカ広葉樹材は加工・塗装次第で厳しい環境下でも問題なく使用できるとの報告がありました。

続いてのフリーディスカッションでは、建築側から「AHECが主催するセミナーや見学会での木材問屋との直接の対話を通じアメリカ広葉樹の知識は増えてきているが、それらの内装材価格が掴み難く、木材問屋から建築家への適切な情報提供が不足している」と指摘されました。また、非常に関心が高くなっている床暖房についてもアメリカ広葉樹を使用できる可能性が高いが、双方のコミュニケーション不足で床暖房には適していないという認識が広まっていることも分かりました。

さらに、いつもの問題として挙げられている内装材の厚みの件ですが、例えば一般的なアメリカ広葉樹材のラフ厚である25ミリからの20ミリ厚の内装材に仕上げれば歩留まりも良く、加工費も安くつくなどの点についても議論され、建築家からはそのような厚い無垢の床材は足さわりも良く、メンテンス次第では半永久的に使用でき、建築家のアイデア次第では他の場所にも使えるはずと意見も聞かされました。

今回の懇談会でも、それぞれの立場からアメリカ広葉樹の内装材について議論され、参加者からは有意義な懇談会であったとの意見を頂きました。アメリカ広葉樹輸出協会・日本としてはこのような懇談会を大阪や名古屋でも開催し、アメリカ広葉樹の内装材としても需要拡大を図ることにしています。